Blender 3.6 の使い方 (23) アセットライブラリ
Blnder 3.6LTS の公開に合わせて、人体モデルのアセットライブラリが公開されました。
著作者が著作権を含む極力多くの権利を手放してパブリックドメインへ提供するという CC0 というライセンスが採用されているため、自分の作品にもアセットを自由に使うことができます。
何もモデリングしなくても、この記事に沿ってアセットライブラリを使うだけで上のような CG が作成できてしまいます。
Blender 3.5以降ヘア用のジオメトリノードの詰め合わせが、アセットライブラリとして標準で付属するようになりました。 ヘア用のジオメトリノード以外も Blender 公式サイトのDemo Files から追加のアセットがダウンロードできます。
Asset Bundles のダウンロード
Blender 公式サイトのDemo Files から「Human Base Meshes」と「Cube Diorama」がダウンロードできます。ほぼ制限のないライセンス (CC0) なので使いやすいと思います。
アセットの使い方の概要
- アセットライブラリに加えたいアセットを含む blend ファイルを「ドキュメント\Blender\Assets」以下に置く
- アセットを含む blend ファイルを Blender で開く
- 必要なオブジェクトやマテリアルなどをアセットとしてマークする
- 新規アセットカタログを作成して名前をつける
- アセットをアセットカタログにドロップ
- アセットカタログを保存
- アセットを含む blend ファイルを保存
- Blender を起動してアセットブラウザを開く
- アセットブラウザから3Dビューポートにドラッグアンドドロップでアセットを追加
人体モデルの登録
「Human Base Meshes」には、リアルな男女2体とデフォルメした男女2体の人体モデルと手、足、頭部、頭蓋骨などのパーツがまとめられています。「Human Base Meshes」はBlender 3.2以降用です。
ダウンロードした human-base-meshes-bundle-v1.0.0.zip を展開して、含まれている human_base_meshes_bundle.blend を Blender でオープンします。 「Human Base Meshes」のインストールは以下のようにクリック2回で終了します。
左下の「Copy Bundle to Asset Library...」からユーザライブラリをクリックします。
デフォルトのコピー先は「ドキュメント\Blender\Assets」となります。もし存在していない場合はフォルダを作成しておきます。 「編集/プリファレンス/ファイルパス/アセットライブラリ」のパスを変更すれば、別のフォルダをユーザライブラリに指定することもできます。
「アセットライブラリへ...」をクリックすると「Human Base Meshes」はアセットライブラリとして登録されます。
以上で「Human Base Meshes」のアセットライブラリとしての登録は終了です。
Blender を最初から起動し直して、エディタの1つを「アセットブラウザ」に切り替えると「Human Base Meshes」が表示されます。 「アセットブラウザ」に表示された「頭部」を3Dビューポートにドラッグします。
3Dビューポートにドロップした位置に頭部のパーツが追加されます。 このオブジェクトはオブジェクトモードしか選択できません。
アセットライブラリからのインポート方法には3種類あります。
- リンク
- アセットは現在の Blend ファイルにリンクされるため、読み取り専用になります。アセットライブラリのファイルに対する後からの変更は、アセットファイルにリンクしているすべてのファイルに反映されます。
- アペンド
- すべてのアセットと、アセットが参照するすべてのものが現在のファイルに追加されます。オブジェクトの場合はメッシュ、マテリアル、モディファイア、コンストレイントなどです。3回アセットをコピーすると独自のコピーが3つ作成されます。 アセットライブラリのファイルに対する変更は反映されません。
- アペンド(データを再利用)
- アセットが初めて使用されるときは、その依存関係も含めてアセットが追加されます。しかし、次回以降そのアセットが使用されるときにはできるだけ多くのデータが再利用されます。 アセットライブラリのファイルに対する変更は反映されません。
追加したアセットを編集する場合は、オブジェクトメニューから「インスタンスを実体化」を選びます。
するとスカルプトモードや編集モードが選択できるようになって、形状などを変更することができます。
「インスタンスを実体化」することで、アセットライブラリとは独立したオブジェクトとして使うことができます。 次のスクリーンショットは少しリアル寄りの顔に編集してみました。
3DCGの初心者がスカルプトモードやポリゴンモデリングで人体を作成するのは大変なことです。 アセットライブラリを使うとハードルがかなり下がります。
Cube Diorama のインストール
「Cube Diorama」は室内にある家具などがパーツとして用意されています。
「Cube Diorama」は Blender 3.0用に作られているため、アセットライブラリとしてインストールするのは「Human Base Meshes」より少し面倒ですが、応用が効くので試してみて下さい。
ダウンロードした asset-demo-bundle-3.0-cube-diorama.zip を展開して、含まれているcube_diorama.blend を「ドキュメント\Blender\Assets」にコピーします。 「ドキュメント\Blender\Assets\cube_diorama.blend」 を Blender でオープンします。 アセットブラウザの左側が「現在のファイル」になっていることを確認します。
メニューから「新規アセットカタログ」を選択します。
「カタログ*」という見出しが作成されるので、「カタログ*」をダブルクリックして名前を変更します。
「Cube Diorama」としました。
「Cube Diorama*」を選択している状態で「新規アセットカタログ」を選択すると、 下の位置に「カタログ*」という見出しが作成されます。
「Cube Diorama*」の右側の [+] をクリックしても「カタログ*」という見出しが作成されます。 「カタログ*」を「Material」という名前に変更しました。
「未割り当て」を選ぶとアセットが表示されますが、フィルタの設定を「マテリアル」を指定すると、マテリアルだけが表示されます。
[A]キーでマテリアルを選択して、「Material*」にドラッグアンドドロップすると「Material*」に移動します。
同様に「Object」という名前の「アセットカタログ」を作成して、「未割り当て」からフィルタの設定を「オブジェクト」を指定して選択して、「Object*」にドラッグアンドドロップします。
オブジェクトの種類ごとに細かく分けることもできますが、今回は Material と Object の2種類にしました。 メニューの「カタログ」から「アセットカタログを保存」を選択します。
ファイルを保存して cube_diorama.blend を「ドキュメント\Blender\Assets」に上書き保存します。
この後は、Blender を起動してアセットブラウザを開くと、Cube Diorama が表示されます。 アセットブラウザから3Dビューポートにドラッグして、サイズや配置を修正するだけで、シーンに物を追加できます。
Cube Dioramaアセットを利用した例
Blender を起動して、デフォルトキューブの3面を削除して、内側にアセットをドラッグアンドドロップして、サイズと位置を変更するだけで次のようなシーンが簡単に作成できます。
独自のパーツをアセットライブラリに登録
自分専用や特定のプロジェクト専用のパーツもアセットライブラリに登録してローカルで使う事ができます。
まずアセットライブラリに加えたいアセットを含む blend ファイルを「ドキュメント\Blender\Assets」以下に置いて、blend ファイルを Blender で開きます。
- (1) アセットブラウザを選択します。
- (2) 「現在のファイル」を選択します。
- (3) オブジェクトやマテリアルをアウトライナーで選択します。
- (4) 右クリックして「アセットとしてマーク」をクリックします。
アセットブラウザのサイドバー([N])には、選択したアセットの詳細が表示されます。 タグに単語を登録すると検索できるようになります。
マークしたアセットは「未割り当て」を選択すると表示されます。
「新規アセットカタログ」で、アセットカタログを作成して、ここでは「my_catalog」と名前を変更します。
登録するアセットを選択して、「my_catalog*」にドラッグアンドドロップすると「未割り当て」のアセットは「my_catalog*」に移動します。
my_catalog 以下に配置されました。アセットカタログを保存します。
アセットを含む blend ファイルを保存します。
以上で、Blenderを起動してアセットブラウザを開くと登録したアセットが表示されます。 アセットブラウザからドラッグアンドドロップで3Dビューポートにアセットを追加できます。
blender_assets.cats.txt
アセットカタログの実体は、ユーザの「ドキュメント」フォルダ以下のBlender\Assets\blender_assets.cats.txt というテキストファイルです。 今回の操作の結果で以下のようなファイルができます。
# This is an Asset Catalog Definition file for Blender. # # Empty lines and lines starting with `#` will be ignored. # The first non-ignored line should be the version indicator. # Other lines are of the format "UUID:catalog/path/for/assets:simple catalog name" VERSION 1 078cc320-343d-4b52-8838-3c35b5931e94:Cube Diorama:Cube Diorama ff5f1b0e-4883-4516-b3c9-9cbd81e79522:Cube Diorama/Material:Cube Diorama-Material a26c7ed8-c649-415d-a70d-274027bc1e46:Cube Diorama/Object:Cube Diorama-Object 261b6650-a954-42d6-9be7-02727d3eb9ef:Human Base Meshes:Human Base Meshes f7165ac8-14a4-4c82-9c7f-e69a649f50ef:Human Base Meshes/Planar:Human Base Meshes-Planar fe53c157-b313-482f-b7a3-69e260232e6f:Human Base Meshes/Realistic:Human Base Meshes-Realistic bda36abe-4601-40ae-acf5-38b5d6df5324:Human Base Meshes/Stylized:Human Base Meshes-Stylized 663eb793-20a1-4bfc-9253-68b82bae0c3b:my_catalog:my_catalog
アセットの編集
Blender は作業中の blend ファイル以外のblend ファイルを編集できません。 したがって、アセットライブラリ中のアセットを編集する場合は 「ドキュメント\Blender\Assets\」以下のblend ファイルを開いて変更します。
リンクでインポートしている場合は、そのアセットを使っているファイルは自動的に変更されます。 アペンドでアセットを利用している場合は、変更を有効にするためには再度インポートする必要があります。
Blender 2.8 - 4.3 の使い方 [目次]
- (01) インストールと日本語化
- (02) 画面構成とモード
- (03) オブジェクトモード
- (04) 球と円柱でモデリング
- (05) スカルプトモード
- (06) 編集モード
- (07) リトポロジー
- (08) Python スクリプト
- (09) マテリアル (1)
- (10) マテリアル (2)
- (11) マテリアル (3)
- (12) アーマチュア(ボーン)
- (13) Rigifyによるリギング
- (14) パーティクルヘア
- (15) グリースペンシル
- (16) ジオメトリーノード (1)
- (17) ジオメトリーノード (2)
- (18) カメラ
- (19) ジオメトリーノード (3)
- (20) 新ヘアシステム Hair Curves
- (21) ヘアカーブの進化
- (22) Vector Displacement Mapブラシ
- (23) アセットライブラリ
- (24) シミュレーションゾーン
- (25) ボーンコレクションとRigify