Blender 2.8 の使い方 (03) オブジェクトモード
前 (画面構成とモード) www.mztn.org 次 (球と円柱でモデリング)
Blender では 3次元の物体をオブジェクト (Object) と呼びます。オブジェクトは画面に映る物体だけではなく、カメラ、光源、見えない物体(Empty) も含まれます。 オブジェクトモードでは、それらのオブジェクトを空間に追加したり、削除したりすることができます。 さらに移動、回転、拡大/縮小のほか、複製、ミラー化、親子関係の設定などが可能です。 オブジェクトモードの基本操作について3回ぐらいで解説する予定です。 オブジェクト自身を変形(編集、スカルプト、アーマチャ)したり、色を設定(頂点ペイント、テクスチャマッピング)に比べて単純で、ほかのモードでも使える機能が多いので十分に理解すると後が楽になると思います。
表示の方向
まず、空間の方向を決めておいたほうが都合がいいことが色々とがあります。 Blender では、上は Z 軸のプラス方向、向かって右が X 軸のプラス方向、画面に向かって奥が Y軸のプラス方向 となります。 右手の親指と人差し指、中指をそれぞれ直角になるように向けて、親指をX軸、人差し指をY軸、中指をZ軸に向けることができるので 右手系 と呼ばれます。アプリケーションやゲームエンジン (Unity、UE4とも左手系) とのデータ交換には必要となる情報かもしれません。
例えば航空機力学では、進行方向がX、右がY、重力の方向(下)がZという座標系を使います。 数学では、2次元のグラフの上がY、右がX に手前をZと拡張した座標系が多く使われると思います。コンピュータグラフィックでは、数学と同じ OpenGL 、奥がZ方向のプラス側となる Microsoft の DirectX があります。 まあ、相互に変換可能なので、それほど大きな問題ではありません。
正面 [1]
物体の方向と、見ている人の視線(カメラの方向) があって混乱しそうですが、視線の方向を Y 軸のプラス方向、上が Z 軸のプラス方向、右が X 軸のプラス方向とすることが基本となります。 この方向を見るためには、テンキーの [1] を押します。
左側 [3]
オブジェクトの左側面を見る(X 軸のマイナスの方向)ためには、テンキーの [3] を押します。
上側 [7]
オブジェクトの上面を見る(Z 軸のマイナスの方向)ためには、テンキーの [7] を押します。
下側 [Ctrl+7]
コントロールキーを押しながら [7] (Ctrl + 7)を押すと、下から見上げる方向(上が Z 軸のプラス方向)側から見る形になります。 同じく、Ctrl + 1 では後ろ側、Ctrl + 3 では右側面を見ることになります。「コントロールキーを押しながら は逆」と覚えておきましょう。
数値キーによる視点移動
図のようにコントロールキーを押しながら偶数のキーを押すと、視点が物体と平行に移動します。 物体を動かさずに、視点が移動します(物体は逆に移動するように見えます)。
キーボードの設定
数値キー(テンキー)のないノートパソコンに対応するために、テンキーの代わりに数字(Q W E R T Y U I O の上のキー)で代用することができます。数字キーをテンキーのエミュレーションとして使うと、編集モードで選択モード(点:1、辺:2、面:3)の切り替えに使えなくなりますが、ヘッダーのボタンを使えばいいのであまり困ることはありません。
このサイトのインターフェイスの設定は、図が見やすいように解像度スケールが 1.2、ライン幅を太字に設定しています。さらにウインドウは原則的に 640x480 と非常に狭い状態でスクリーンショットを撮ってますが、慣れれば狭くても結構操作できます。ヘッダーやタブ、ステータスバー などの隠れている部分はマウスホイールなどスクロールできます。
オブジェクトモードのツール
ヘッダーからのオブジェクトモード のツールバーは編集モードでも上8種類は同じツールです。ツールバーが表示されていない場合は、[T]を押すと表示されます。 ボタンの右側にマウスカーソルを近づけると、スクロールバーが表示され、その右端で左右矢印が表示されたときにドラッグして広げたり、狭めたりするとボタンのサイズや列数、ツールの名前を表示したりします。
選択
一番上のツールは「選択」です。 選択のボタンには右下に小さな三角が表示されていますが、三角が付いたボタンは長押しすると選択肢が表示されます。選択には4種類あって、デフォルトではボックス選択になっていますが、「選択」にするとクリックしたオブジェクトだけが選択されます。
ボックス選択 [B]
「ボックス選択」はマウスの左ボタンを押したままドラッグすると表示される長方形の領域内を選択することができます。
選択した範囲のオブジェクトが選択されます。
投げ縄選択
「投げ縄選択」はマウスの左ボタンを押したままドラッグした曲線の内部が選択されます。 コントロールキーを押しながらマウスの右ドラッグすると他の選択モードでも投げ縄選択ができます。
3Dカーソル
ツールバーの2番目の赤と白の点線の円のボタンは「3Dカーソル」です。 「3Dカーソル」は3次元空間でも赤と白の点線の円で表示されます。 マウスの左クリックでクリックした位置に移動します。 3次元空間の場所を指定する場合に使います。 例えば、オブジェクトの追加は、3Dカーソルの位置にオブジェクトが出現します。 [N] キーを押して、右側に表示されるサイドバーの「ビュー」タブでも位置や角度を確認したり、設定したりできます。 Shift+C を押すと、3Dカーソルはグローバル座標の原点に移動します。
移動
3番目のツールは「移動」です。 「移動」を選択すると移動用の XYZ軸の矢印が表示されます。 これらのオブジェクトなどの操作に使うカーソルのようなものをギズモと呼びます。 中央の白い円をドラッグすると、オブジェクトは画面に平行な平面の上を移動します。 [N] キーを押して、右側に表示されるサイドバーの「アイテム」タブでも位置を確認したり、設定したりすることができます。
赤い矢印(X軸)をドラッグするとX軸方向だけ変化させることができます。サイドバーの「アイテム」タブの位置で X の値だけが変化します。
小さい赤い四角をドラッグすると、オブジェクトは X 軸に垂直な平面(YZ平面)上を移動します。
緑は Y 軸、青はZ軸に関して同じようにオブジェクトを移動させることができます。
移動以外のツールを選択しているときも、[G]キーを押してマウスを移動すると、オブジェクトは画面に平行な平面の上を移動します。[G][X]と押すとX軸上を移動、[G][Y]と押すとY軸上を移動、[G][Z]と押すとZ軸上を移動させることができます。 [G] はシフトキーを押さないで G キーを押すことを示します。Caps Lockの状態は関係ありません。
回転
4番目のツールは「回転」です。 「回転」を選択すると回転用の XYZ軸の周りの円が表示されます。 赤い円をドラッグするとX軸周りにオブジェクトを回転することができます。 同様に緑はY軸周りの回転、青はZ軸周りの回転です。 白い円は画面に垂直な軸周りの回転になります。 サイドバーの「アイテム」タブでも角度を確認したり、設定したりすることができます。
ドラッグしている最中は、図のように回転量が表示されます。
移動以外のツールを選択しているときも、[R]キーを押してマウスを移動すると、オブジェクトは画面に垂直な軸周りを回転します。[R][X]と押すとX軸周りを回転、[R][Y]と押すとY軸周りを回転、[R][Z]と押すとZ軸軸周りを回転させることができます。
拡大縮小
5番目のツールは「拡大縮小」です。 中央の白い円をドラッグするとXYZ軸全体を拡大縮小できます。原点から遠ざかると拡大、近づくと縮小になります。 赤い軸上の赤い立方体をドラッグするとX軸に沿って拡大縮小できます。
拡大率はリアルタイムにサイドバーに表示されます。
[S]キーを押してマウスを移動すると、XYZ軸全体を拡大縮小できます。 特定の軸方向の拡大縮小は、[S] の後に [X]、[Y]、[Z]のどれかを押すと指定した軸方向に拡大縮小できます。 特に [S][X][0]、[S][Y][0]、[S][Z][0] はすべてを指定した方向に完全に押しつぶすことができ、編集モードで多くの頂点を平面上にそろえる場合などに便利に使えます。
トランスフォーム
移動、回転、拡大縮小の全部が付いたギズモが表示されます。
アノテーション (メモ)
マウスやペンで3次元空間上に手書きの図形や文字を書き込む機能です。アノテーションのツールを長押しすると、ペンまたは消しゴムの種類を選択できます。
文字を書いた例です。
3次元空間上に書いたので裏側から見ることもできます。
計測
オブジェクトの長さや角度を、空間内に直線を引いて表示させておくことができます。 角度は直線の中央付近をドラッグして折り曲げると角度が表示されます。
オブジェクトの追加
空間内に追加するオブジェクトは、ヘッダーの「追加」ボタンを押して、表示されるメニューから選択します。
UV球を追加すると、3Dカーソルの位置にUV球が現れます。
追加したメッシュのサイズや分割数は左下に現れるパネルで変更できます。
パネルが消えても[F9]キーで直前の操作を調節するウィンドウが開きます。
ツールバーの表示
[T] キーで表示されるツールバーは、ツールバーの右端をドラッグすると大きさを変更できます。 最も大きくするとツールの名称が表示されます。
少し狭くするとツールのアイコンが2列で表示されます。
最も狭くするとアイコンが1列で表示されます。
メッシュの種類
オブジェクトとして追加できるメッシュの種類を示します。
グリースペンシル
グリースペンシルを追加すると、2次元の図形を3次元空間に追加できます。
アーマチャ (ボーン)
メッシュを変形する場合などに使用するアーマチャ (ボーン)もオブジェクトの一つです。
テキスト
テキストもオブジェクトとして追加することができます。
メタボール
近くのオブジェクトが液体のように結合するタイプのオブジェクトです。
画像(下絵)
背景や下絵として参照する画像は、オブジェクトの「画像」を追加します。画像のファイルを読み込むと画像オブジェクトとして表示されます。位置や角度、サイズは必要に応じて設定します。
下絵となる画像の場合は、透明度を指定するとオブジェクトより前に透明度を設定して半透明で下絵を表示することができます。
オブジェクトの削除
オブジェクトを選択して、「オブジェクト」ボタンを押して表示されるメニューの一番下の一つ上の「削除」を選択します。 またはオブジェクトを選択して、[X]を押すとオブジェクトは削除されます。
ファイルの保存
オブジェクトの追加/削除、移動/回転/拡大縮小 ができるようになりました。作成したシーンを保存する場合は、トップバーンのファイルメニューから「保存」、または「名前をつけて保存」を指定します。
使い慣れた OS のファイル保存ダイアログと表示が異なりますが、保存したいフォルダとファイル名を指定して保存できます。 黄色の枠内は、ファイルやフォルダの並び順を設定できるボタンです。 図の例(2.80)は、時間の新しい順に表示する設定です。
ファイルブラウザの形式は Blender 2.81で変わる予定なので、Blender 2.81Alphaのスクリーンショットも載せておきます。新しい形式のほうが、かなり使い易いと思います。
色々な機能は右クリックのコンテキストメニューで指定できます。
Blender 2.8 - 4.3 の使い方 [目次]
- (01) インストールと日本語化
- (02) 画面構成とモード
- (03) オブジェクトモード
- (04) 球と円柱でモデリング
- (05) スカルプトモード
- (06) 編集モード
- (07) リトポロジー
- (08) Python スクリプト
- (09) マテリアル (1)
- (10) マテリアル (2)
- (11) マテリアル (3)
- (12) アーマチュア(ボーン)
- (13) Rigifyによるリギング
- (14) パーティクルヘア
- (15) グリースペンシル
- (16) ジオメトリーノード (1)
- (17) ジオメトリーノード (2)
- (18) カメラ
- (19) ジオメトリーノード (3)
- (20) 新ヘアシステム Hair Curves
- (21) ヘアカーブの進化
- (22) Vector Displacement Mapブラシ
- (23) アセットライブラリ
- (24) シミュレーションゾーン
- (25) ボーンコレクションとRigify