Blender 2.8 の使い方 (05) スカルプトモード

前回の球と円柱でモデリング で作成した人体モデルの顔の部分のオブジェクトを統合して、粘土細工や彫刻のようにスカルプトモードで顔を作成します。左の図の球と円柱を組み合わせただけのオブジェクトをから、右のようなリアルな形までスカルプトします。

今回は Blender 2.81 から追加された機能を最初から使います。 まだ Blender 2.80 を使っておられる方は 公式サイトからBlender 2.81 をダウンロード して下さい (インストールと日本語化)。 Blender 2.81 からスカルプトモードが格段に使い易くなっています。ぜひ試してみることをお勧めします。

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Blender 2.81のスカルプトモード

新規ファイルで「Sculpting」を選択すると、中央にグレーの球が1つ存在するスカルプトモードで起動します。 ウィンドウの下のステータスバーに表示される頂点数は 24,578、ポリゴン数も 24,576 と非常に多くなっています。 さらに増やして100万頂点ぐらいにしても問題なく操作できます。

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スカルプトモードは非常に多くの頂点、ポリゴンからなるオブジェクトを粘土を変形させるように操作します。 スカルプトモードの基本的な動作は、ブラシの影響範囲の頂点を移動することです。次の図は、上の球をいろいろなブラシで変形させたものです。下に表示される頂点数とポリゴン数が変わっていないことが確認できます。

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ボクセルリメッシュ

上のオブジェクトを拡大して、メッシュを表示させると、トゲのように伸ばした部分のメッシュが引き伸ばされていることがわかります。 メッシュが引き伸ばされてポリゴンが大きくなっていると、細かい細工ができなくなるため、これまでは Dyntopo で動的にポリゴンサイズを変更する設定を使いましたが、速度が遅いなどの問題がありました。

ボクセルリメッシュはBlender 2.81 から使えるようになった機能で、指定したサイズの四角形でオブジェクト全体を貼り直すものです。 動的にポリゴンサイズを変える「Dyntopo」の右側にボタンがあります。設定を変更する必要がなければ、ショートカットの「Ctrl + R」でもリメッシュできます。

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オブジェクトをレゴやマインクラフトのブロックに写して角を削るような仕組みでメッシュを再構成します。そのため、ほぼボクセルサイズ(ブロックの大きさ)のメッシュで覆われます。 スカルプトで大きく変形させたあとに時々使う感じです。 ZBrush のダイナメッシュの更新と同じように、ボクセルリメッシュを実行するとボクセルサイズにも影響されますが、細部が少しボケた感じになります。

これまではブーリアンモディファイアを何度も使う必要があった、複数の重なったオブジェクトを簡単に結合して1つのオブジェクトにできる点も非常に便利です。

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QuadriFlow リメッシュ

QuadriFlow リメッシュはボクセルリメッシュより時間はかかりますが、整った四角形でメッシュを張り直します。 QuadriFlow リメッシュはプロパティのオブジェクトデータのタブにあるリメッシュパネルで「四角形」を選択して指定します。

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リメッシュパネルの「QuadriFlowリメッシュ」ボタンを押すとオプションが表示され、OKをクリックするとリメッシュが始まり、ステータスバーに進捗状況が表示されます。

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面数を減らす割合、辺の長さ、面の数でリメッシュの条件を選択できます。

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スカルプトモードのカーソル

スカルプトモードのカーソルの形状もBlender 2.81 から大きく変化した部分です。 ブラシの位置の表面の傾き (表面の法線に垂直) に従ってカーソルの円が描かれるため、画面に垂直に近くなるほど楕円が細くなります。また指定した対称軸にしたがって、ブラシと対称な位置に点が表示されます。

これまで(Blender 2.80以前)は、ブラシがオブジェクトに届いているのかどうかが、カーソルの形状が円のままで分かりませんでした。 これからは ZBrush のようにカーソルが変化するため簡単に識別できます。

sculpt_cursor_01.png

例えば、下の図のように、細かい凹凸のある面に細かく従う(カーソルがバタつく)か、カーソルの傾きに対する感度を下げるかは「法線の範囲」でコントロールします。

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「法線の範囲」の値を小さくすると、カーソルのわずかな移動でも傾きは大きく変化します。カーソルの内側の線はブラシの強度を示します。

sculpt_cursor_03.png

大きくするとブラシのサイズの範囲で平均した傾きを使うため、感度が低くなります。

sculpt_cursor_04.png

ブラシの種類

スカルプトモードに変更

3Dビューポートをスカルプトモードに変更するにはヘッダーの左端のメニューから選ぶか、[Ctrl + Tab] で表示されるパイメニューで下を選択します。

sculpt_brush_00a.png


スカルプトするオブジェクトの準備

ここでは最初に表示される立方体(頂点数8)の上下左右を 20m に拡大したものを用意します。 ボクセルリメッシュの前に、メッシュの各軸の拡大縮小率を1.0にするために、オブジェクトモードで、「オブジェクト/適用/拡大縮小」を実行することを忘れないでください。

ここではボクセルサイズ 0.1m でボクセルリメッシュを実行して頂点数を10万近くに増やします。 図のオレンジの枠内の X 軸で対称に描画しないようにチェックを外しておきます。

sculpt_brush_00a.png


「ツールの設定」の表示設定

上の図では「ツールの設定」を表示した状態です。 ヘッダーのビューメニューから「ツールの設定」にチェックを入れると、 ヘッダーが2行になって、ブラシのサイズや対称設定、リメッシュのメニューが上に表示されるようになります。

sculpt_brush_00b.png


MatCap

MatCap はオブジェクトの材質や照明が設定済みのマテリアルです。 スカルプトモードでは 「MatCap」の中で中心部が明るいMatCapを選んで使うと細かな凹凸が分かりやすくなります。 周辺だけが暗いものでは輪郭が目立つ表示になります。

sculpt_brush_00c.png


ブラシ(描画系)

面に直角方向に盛り上げ、削り取るブラシ。コントロールキーを押しながらでは逆の効果となります。


平坦化する効果

sculpt_brush_01.png


ブラシ(移動系)

ブラシの範囲の頂点をブラシの方向に移動するように変形


マスクした場所は変形しない。[Crtl + I]でマスク反転。[Alt + M]でマスク消去。

sculpt_brush_01a.png


顔のスカルプト

さて、ここからは 前回 作成したモデルの顔の部分をスカルプトモードで修正していきます。

全体像

前回の球と円柱でモデリング で作成した人体モデルにさらに目と鼻を球で、耳を円柱で追加したモデルです。さらに腹、足先などに球を変形したものを追加して形を整えています。

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顔と首のオブジェクト

顔と首の部分のオブジェクト以外を隠した状態です。頭、顔、鼻、口に当たるオブジェクトを選択します。 目、耳、首はまだ位置を細かく修正することになるので選択しません。

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拡大縮小などの適用

目、耳、頭などの回転角度、拡大縮小率などがばらばらになっているため、変形した状態を基本となるようにすべてゼロまたは1.0にリセットします。あとで行うボクセルリメッシュのために拡大縮小率は1.0にする必要があります。

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統合

複数のオブジェクトを選択した状態でオブジェクトメニューの統合を選択するか、[Ctrl + J]を押すと、複数のオブジェクトが1つに統合されます。

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この状態ではメッシュが重なり合った状態なので、スカルプトの元としては使えません。これまで(2.80まで)はブーリアンモディファイアの統合と細分化で行いましたが、ボクセルリメッシュが使える2.81以降ではメリットはありません。

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ボクセルリメッシュの実行

私が Blender 2.81 の最大のメリットと考えるボクセルリメッシュです。 オブジェクトの統合が簡単にでき、メッシュの解像度も簡単に変更できます。 ボクセルサイズを 0.01m にしてボクセルリメッシュを実行します。 このボクセルサイズを 1辺 2m の立方体(デフォルトキューブ)に適用すると、6面から一瞬で 200 x 200 x 6 = 240,000 程度の面数になります。 今回の形状では15万程度になりました。 ポリゴンモデリングと比べるとポリゴン数が多いですが、この程度では速度の問題は全くありません。

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メッシュが非常に細かくなって見にくいですが、ボクセルリメッシュを実行するとメッシュの重なりは解消されます。

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スムーズブラシ(赤)

ボクセルリメッシュの結果、前のポリゴンに沿って細分化されるため、スムーズブラシ [S]で表面をなめらかに加工します。ブラシカーソルとなる外側の円は、ブラシの影響する範囲、ブラシの内側の線はブラシの効果の強さを示しています。 Blender 2.80 以前はブラシカーソルは円のまま変化しませんでしたが、2.81以降はブラシカーソルは法線に垂直な面に円が表示されるようになりました。 つまり、編集する面が画面に垂直はほど、ブラシカーソルの楕円は細くなります。 また、対称位置にも点が表示されるようになりました。

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ブラシのサイズ変更は、ヘッダーのツール設定や、プロパティのブラシの設定でも変更できますが、よく使うため、ショートカットの [F] を覚えておくと作業が早くなります。 [F] キーを押してマウスを移動するとブラシのサイズが変わります。

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ブラシの強度の変更も、ヘッダーのツール設定や、プロパティのブラシの設定でも指定できますが、ショートカットの [Shift + F] が効率的です。[Shift + F] のあと、マウスを移動するとブラシの強度が変わります。Blender 2.80とは逆に円が大きくなるほど強度は大きくなります。表示されるカーブの形状はヘッダーの「減衰」メニューから変更できます。

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グラブブラシ(黄)で変形(左右)

大きく形状を変更するには、グラブブラシ [G] が便利です。 ブラシのサイズを変形する範囲より大きめにして押したり引っ張ったりして使います。 ここでは、頭部を 上から見て 、こめかみの部分を少し細く押し込みます。

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グラブブラシ(黄)で変形(前後)

頭部を 左から見て 、アゴの形を修正します。

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ドローブラシ(青)で修正

なめらかに盛り上げたり、削ったりする ドローブラシ [X] で目、鼻、口の部分を作ります。 ここでは目のオブジェクトは隠しています。目のくぼみは、頭の先から顎までの半分の位置が目安です。眉の位置と顎までの半分ぐらいの位置に鼻の先端が来るようにします。また、歯の並び方を意識すると、頬骨より顎のラインは結構細くなる事がわかります。

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クレイストリップブラシで修正

クレイストリップは実際に「かきべら」で粘土を削ったような跡が残るブラシです。 荒々しい凹凸が目立つので、多用する人もいるようです。

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クリースブラシで唇周辺の造形

クリースブラシ [Shift + C] は、角がつくように削ったり盛り上げたりできるブラシです。 私は、目や口の周辺で、はっきりした形にするため使います。 下の図では、赤い線がクリースブラシで削る部分、青い線はコントロールキーを押しながらで、盛り上げる部分です。

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鼻 の造形

鼻は、小鼻と鼻の穴を作るだけですが、赤丸の部分に球に近いボリュームを意識するともっともらしくなります。

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眼球のサイズと位置を調整

眼球は別オブジェクトのまま、大きさや位置を調節します。 大体、目の幅の5個分が顔の幅になります。したがって、眼球の直径は顔の横幅の 20% より少し大きいぐらいを目安にしています。

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眼球を埋める

眼球の位置を決めたら、周りを削ったり、持ったりして目の形になるようにスカルプとします。

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まぶたと涙袋

図のようにクリースブラシ [Shift + C] を使って目の周辺の形を決めます。 青い線の部分は、まぶたの厚みを意識して角をつけて盛り上げます。 赤い線の部分は個人差が大きく顔の特徴が出る部分なのでいろいろ試してみてください。

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ワイヤーフレームでメッシュを表示

ここまでのスカルプトでポリゴンの形状を見てみます。 メッシュの

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メッシュの状態を確認

拡大してポリゴンの伸び方を見てみます。 下のまぶたの部分は伸びが大きくなってしまっていて、細かいふくらみを表現するには無理があります。目尻の部分は無駄に小さいポリゴンとなっています。

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ボクセルリメッシュでメッシュの修正

ここではプロパティの「オブジェクトデータ」タブにある「リメッシュパネル」の「ボクセルリメッシュ」ボタンでリメッシュを実行しています。 設定を変更していなければショートカットの [Ctrl + R] でキーボードから実行できます。

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細部の修正

ボクセルリメッシュの結果、凹凸ができた部分を修正しました。

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頭部のスカルプトの完成

今回はここまでで頭部の完成とします。角度を変えたり、時間を置いたりすると不自然に感じる部分がでてきて、いつまで経っても完成した気になりませんが、今回は個々で妥協です。 頂点数もポリゴン数も約 142,500 です。私の環境では、300万ポリゴン程度まで増やしてもスカルプト作業自体の速度は大丈夫です。

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次回は、リトポロジーに必要な編集モードの設定を説明し、そのあと頭部のリトポロジーを行います。スカルプトしたポリゴン数が多いままでは、このあと UV 展開、テクスチャマッピング、法線マッピングなどができないのでリトポロジーを行う必要があります。

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