Blender 2.8 の使い方 (04) 球と円柱でモデリング

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球と円柱でキャラクターのモデリング

3DCGの初心者が、ポリゴンで何か作成しようとすると、作りたい形にならなくて挫折する人が多いかもしれません。 特に私のように絵が描けない人は、そもそも「作りたい形」も自分でよく分かっていないことに気付くものです。

今回は、オブジェクトモード で、球と円柱の拡大縮小、位置と角度の変更だけで大まかな形を作ります。 円柱は編集モードで少し修正して下の図のような人型の8頭身キャラクターにするのを目標にします。 手足の4つの円柱を編集した以外は、メッシュの追加で球と円柱を伸縮したものを位置と角度を修正して配置しただけです。 これだけでもソコソコ男性、女性の形になっていると (私は) 思います。

blender28_04.png


Blenderの解説記事ではあまりない(と思う)オブジェクトモードを中心に大まかな形を作る方法 (block out) ですが、複数のオブジェクトを組み合わせたものは、Blender 2.81以降では統合して1つのモデルとして扱うことが格段に楽になっている (ボクセルリメッシュ、QuadliFlowリメッシュ) ので安心してください。(この記事はBlender 2.81でBlender 2.80 までの機能を使っています。)

次の図は、まず、ここで解説している方法を使って、大まかに人体の形を決めて、複数のオブジェクトををシフトキーを押しながらクリック(選択)して、1つのオブジェクトに統合(Ctrl + J)しました。

その後、ボクセルリメッシュで細かいメッシュに変換して、スカルプトモードで形を細かく修正 しました。

最後にリトポロジーでポリゴンを貼り直し て、再構成した結果です。


model12bone_04.png.png


オブジェクトモードでモデリング

起動画面から

今回は、初めてBlenderを起動するところから始めます。初めてBlenderを起動すると、簡単な設定ができるスプラッシュスクリーンが表示されます。一番下の「Theme」を「Blender Light」に変更すると、このサイトで使っている色合いになります。 デフォルトの黒い画面は見にくいので、このサイトは基本的に「Blender Light」テーマを使います。

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General

新規ファイルの選択で、「Generl」を選択すると立方体1つのファイルが開きます。

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ワークスペースの変更

トップバーのワークスペース を「Layout」から「Modering」に変更します。タイムラインエディタのエリアが無くなって、少し広くなります。

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設定の変更

インストールと日本語化 でも書きましたが、インターフェイスの表示を日本語に変更します。

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日本語化

左側のボタンで多くの機能のカスタマイズができますが、一番上の「interface」で表示される「Translation」にチェックを入れ、その下の「interface」もチェックします。「言語」は 「Japanese(日本語)」にします。

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立方体の削除

上で「General」を選択したり、メニューからファイル/新規/全般を選ぶと、最初から立方体が存在しています。 今回は立方体は必要ないので削除します。 次の図は テンキーの 1 を押して正面から見た状態になっています。 表示の方向は、前の記事 を参考にしてください。

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UV球の追加

立方体のかわりに、UV球(地球儀のように緯度、経度で分割された球) を配置します。 ヘッダーのメニュー から 追加/メッシュ/UV球 を選択します。 3Dカーソル (赤白の円と十字)の位置に追加されるので、3Dカーソルが原点になければ「Shift + C」を押すと、3Dカーソルは原点に移動します。

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UV球のサイズ

配置された UV球は半径 1m の球となります。 このままサイズを変えずに、人体モデルの頭部として使います。この後、UV球を下に 8 つ並べて、下絵無しで形を決めることにします。

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UV球の複製と移動

オブジェクトを選択して、シフトキーを押しながら[D]キーを押す(Shift + D)と同じ位置にオブジェクトが複製されます。 複製されたオブジェクトが選択され、移動モード([G]キーを押した状態) になっているため、マウスを移動すると球も移動します。

最初の球に接するように、下に移動させますが、マウス操作では微妙にずれるので、[N]キーを押すか、上部右の小さい[<]をクリックして、サイドバー を表示します。 「アイテム」タブの「位置」に数値を入力 するとオブジェクトの位置を正確に設定できます。 オブジェクトの中心を合わせるには「X を 0m」とします。操作をしていると、中心位置を微妙に移動させてしまうことがあるため、X 座標を 0 に戻す操作をよく使います。 ここでは、直径 2m の球を並べるため、Z 座標を「-2」に設定します。

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球を縦に 8 個並べる

複製して移動を繰り返して、UV球を縦に 8 個並べます。UV球を頭として、8個分で8頭身のキャラクタとします。

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オブジェクトの色をランダムに設定

オブジェクト (UV球) の色に変化を持たせるため、3Dビューのシェーディングを変更します。 照明を 白系の MatCap に変更して、カラーをランダムに変更します。

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円柱の追加

足や腕用に円柱を追加します。 [S]キーを押して、マウスを移動して、サイズを 1m 程度に合わせます。

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円柱のサイズを変更

円柱を選択した状態で、[S]とキーを押すと拡大縮小 が可能となります。大きさ 1 マス程度(1m)に合わせます。

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円柱を伸ばす

円柱を選択した状態で、[SZ]とキーを押すと Z 軸方向に限定した拡大縮小が可能となります。長さを 4 マス程度(4m)に合わせます。

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円柱を複製

円柱を選択して、Shift + D を押して、円柱を3個追加します。 腕用はZ 軸方向に限定した拡大縮小(SZ) で少し短くしました。 円柱を選択して[G]キーを押して適当な位置に移動します。

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球と円柱の拡大縮小と移動

球は 拡大縮小 して変形します。 全体を縮小するには[S]キーを押して、マウスでサイズを調整します。 ここでは球をを上下左右に拡大して胸の肋骨を作成しています。

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球と円柱を人型に配置

一番上の球を頭、上から4つ目の球を腰に、一番下の球を足の位置とします。 その他の球は肩、ひじ、股関節、膝とします。 頭、腰、足の先の位置を決めるため、球を並べましたが、余った球は縮小して関節部分に使います。

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首と腰の円柱を追加

首と腰の円柱を配置する場合、背骨のS字の流れを意識した角度にするとリアルな感じになります。 壁に頭、肩、背中、かかとをつける感じです。 後でいくらでも修正できるので適当でかまいません。

この図では、背骨の形を見るために腕を表示しない設定にしています。 右上のエリアに表示された「アウトライナー」で 「目」のマークをクリックするとオブジェクト毎の 表示/非表示を切り替えることができます。

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円柱を回転

上腕に当たる円柱を[R]キーを押して角度を調整します。 表示の方向 を変えながら、位置と角度を修正します。

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鎖骨の追加

人体では目立つ位置にある鎖骨を追加します。 球を追加して[S]キーを押してサイズを縮小、左右に ([SX]キーとマウスで調節)伸ばして鎖骨としました。 回転と位置を修正して、胸と肩の位置関係を決めます。

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ミラーモディファイアの適用

左右対称な位置にあるものは、ミラーモディファイアで簡単に配置できます。 モディファイアはオブジェクトモードでプロパティ(右下の領域)のスパナのマークのタブを選択します。 「モディファイアを追加」ボタンを押すと、多くのモディファイアが表示されます。「生成」の列の「ミラー」を選択します。

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ミラーの中心オブジェクトの指定

ミラーの中心となるオブジェクトを指定します。 ここでは最初の球(頭部)の「Sphere」を鏡としました。

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球を追加して人型の完成

人の骨格を意識した人型ができました。

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頭部の修正

ここまでくると頭を1つの球とすると不自然な感じです。 左右と上下に20%ほど縮小することにします。 上下の縮小に合わせて少し上に移動します。

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顔の追加

上下に少し伸ばしたUV球を追加して、「顔」とします。なんとなく人型になってきました。

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位置を変更して動物を作成

手足の先に関節を追加してますが、ほとんど同じパーツで動物っぽい形状 (犬を意識) にもできます。

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編集モードで形状を修正

円柱そのままではリアルさに欠けるので、編集モード で簡単に太さを変えてみます。

透過表示に切り替え

今回は主に円柱の両端の頂点を一度に選択したいため、透過モードに切り替えます。 ヘッダーの赤で囲んだ部分をチェックすると全体に半透明の表示になります。 透過モードでは後ろに隠れた頂点も選択することができます。 まず、オブジェクトモードで、大腿部の円柱を選択します。

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編集モードに切り替え

ヘッダーから編集モードに切り替えるか、[TAB]キーを押して編集モードに切り替えます。 編集モードでは、頂点と辺が表示されます。選択した部分がオレンジで表示されます。 [A]キーですべて選択、[Alt + A]または[A]キーを2回押すと選択がすべて解除されます。

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ボックス選択のショートカット

いったんすべての頂点の選択を解除して、[B]キーを押してマウスの左ボタンを押したままドラッグすると、 四角の領域に含まれている頂点を選択することができます。

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ツールからボックス選択

左側のツールバーの一番上のアイコンが点線の四角になっていれば「ボックス選択」の状態です。

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矩形領域の頂点を選択

マウスの左ボタンを押したままドラッグすると、四角の領域に含まれている頂点が選択されます。

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股関節周辺の頂点を選択

大腿部の上を太くするために、円柱の上部の頂点を選択します。

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円柱の上部を太くする

[S]キーを押して、マウスを移動させると拡大縮小できます。

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または、ツールバーの拡大縮小のアイコンをチェックして、スケールギズモを表示して、 内側の白い円をドラッグして拡大縮小することもできます。

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膝の部分のサイズを修正

選択した頂点の拡大縮小で太さを合わせ、角度を修正する場合は[R]キーを押してマウスを移動します。

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ループカットで分割

円柱を上下に分割するには、ツールバーの「ループカット」アイコンを選択するか、[Ctrl + R]を押します。 マウスカーソルの近くに分割する場所が黄色で表示されます。 マウスを左ボタンを押したままドラッグすると分割位置が移動し、離すと位置が確定します。

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ループカットの繰り返し

ツールバーの「ループカット」アイコンをチェックした状態では、ループカットを何度でも繰り返すことができます。

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ループカット位置の修正

ループカットした位置が確定した後で変更したい場合は、ツールバーの「辺をスライド」アイコンをチェックするか、 [GG]と G キーを2回押すとマウスの移動で位置の変更ができます。

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太さの調整

円柱の分割した頂点を選択して、拡大縮小で太さを変更します。

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前後の頂点位置の修正

選択した頂点の位置を変更するには、ツールバーの「移動」アイコンをチェックするか、 G キーを押すとマウスの移動で位置の変更ができます。

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足首を横方向に縮小

足首の部分を左右(X軸方向)だけ縮めます。 Sキーを押した後、Xキーを押すと拡大縮小をX軸に限定できます。

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ふくらはぎの形状

ループカットによる分割と拡大、移動でふくらはぎの形に修正します。

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編集モードで修正後の人型

図のように、手足をループカットを使って太さを調節し、お尻に球を配置、前後につぶれた球で肩甲骨の部分を追加して、今回の人型の8頭身キャラクター完成とします。この状態で各パーツとなっているオブジェクトの位置やサイズを修正することでモデルの形状を簡単に変更できます。 満足な形になるまで修正しましょう。

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胸を追加して、パーツの位置、角度と拡大率を調整するだけで女性らしい形状にもなると思います。

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頂点の位置を決めて面を貼っていくポリゴンモデリングや、スカルプトでここまでの形を作るのは大変です。 基本オブジェクトを組み合わせて「三次元の下書き」で練習しましょう。


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Blender 2.8 - 4.1 の使い方 [目次]

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